技術はどんどん進化し、そのバーチャル性を高める方向に進化している。そしてメディアに接触する時間が増えれば増えるほど、人々は身体直接的な経験を持つ時間がなくなり、身体直接性のないバーチャルな情報の世界に深くひたり、それなりの形で情報を把握し、それなりの形で世界を拡大し、その結果を自分の持っている乏しい身体直接的な世界に連続させてしまう。そして、それを自分の認識世界としてしまう。たとえば臨場感通信という技術は、メディアによって与えられる情報がリアルであればあるほど良いだろうという楽観主義にもとづいているが、果たして、身体直接性のないバーチャルなリアリティが、身体直接性と区別のつかなくなるような形での融合が望ましいユーザーエクスペリエンスなのかどうかを考える必要がある。技術の発展を素朴に楽しみ喜んでしまう姿勢は、ユーザビリティ関係者としては排除しておく必要があるだろう。
via usability.gr.jp
最後の一文をよく肝に命じておこうと思うわけですが、これは別にユーザビリティ関係者でなくたって、Webサービスを提供している者であれば忘れてはいけないこと。
自分たちの領域がWebを軸足にしているので、その中でいかにユーザーの行動をデザインするかで思考が止まってしまいがちだけれども、ユーザーがWebを利用して何か目的を達成しようとした時に、Webなんてほんの入口に過ぎないことなんて当たり前によくあるわけです。
地道なユーザビリティの向上のためにモニターと向かい合ったユーザーテストも当然必要だけど、PCやサービスと接触していない、その先や過程にあるユーザー行動に基づいて、フィールド調査なりシナリオデザインを考えていかなければ、本質的なユーザーエクスペリエンスの向上というのは、とても難しいことではないでしょうか。
